凡人の日常【part.18】確認をこまめに
2022年12月 第1週
まさか、この短期間で、2度もあの音を聞くことになるとは…。
いつもの見慣れた景色を横目に通勤していると、会社に一番近い交差点が赤信号になった。
ついてないなと思いつつふと目線を落とすと、一瞬で背筋が寒くなる。
ガソリンが、残りわずかだ。
だが、冷静になってみると、なんら慌てるようなことは無い。
全体が10メモリであるなか、まだ2メモリある。
普段は残り4メモリで補充するため、普段見ない数で驚いただけだ。
そんなことを考えているうちに会社に着き、何事も無かったかのように仕事をする。
仕事中は案外、頭の片隅にも残らないものだ。
仕事が終わるまで、ガソリンがピンチであることなんて思い出さなかった。
だが、流石に仕事が終われば思い出す。
帰路につくためにエンジンを点ける。
と、その前に、心配性な僕は、念のため給油について調べてみることにした。
と言うのも、会社付近ではなく、自宅付近のガソリンスタンドで給油したかったからだ。
普段の通勤では、往復で1メモリ分も減らない。
なので、2メモリあれば実際は問題ないはずである。
ただ、通勤に自動車専用道路を利用しているため、途中でガソリンスタンドに寄ることは難しく、必要以上に怖がっていいたのだろう。
給油ランプが点灯しても50kmまでは走れるだの、点灯しても慌てるなだの。
そんなソースがはっきりしない記事を読んだ。
でも、これでよかった。
そもそも、2メモリある時点で大丈夫だろうとは思っているのだ。
今の僕には、その根拠の裏づけが欲しかったわけではなく、ただ安心したかっただけだから。
実際、気を落ち着かせることはできた。
気を取り直してエンジンを点ける。
変わらず、2メモリだ。
問題ない。
いざ出発してしまえば、あとは行きつけのガソリンスタンドまで走るだけ。
正直、かなり余裕が出てきていた。
なんだ、全然問題なさそうだ。
そんなことを考えながら走っている、その時。
(ピッ)
音が鳴る。
ガソリンが、残り1メモリとなったのだ。
音は、給油ランプと共に、僕の不安も灯す。
あれだけ余裕ぶっていたはずなのに、一気に平常心が保てなくなった。
天候が雨で、湿度が高かったことも影響しているのだろう。
運転席側のドアガラスが、一気に曇る。
緊張感が目に見える形でも現れ、余計に緊張した。
加えて、帰宅時間帯の自動車専用道路だ。
当たり前のように、渋滞している。
渋滞はいつものことだ。
それを加味しても、普段は往復で1メモリ減らない。
それなのに、だ。
漠然とした不安が、僕を襲う。
…いったい、どれほど時間が経ったであろう。
実際には30分すら経っていないだろうが、僕の体感は数時間のそれだった。
それでもなんとか、行きつけのガソリンスタンドに到着することができた。
もう、感慨無量であった。
張りつめていた緊張感から解放され、急にお腹が空いた。
ガソリンの残量は、もっとこまめに確認しよう。
そう思わせるアクシデントから始まる12月であった。
おまけ
今回の題材とは全く関係ないのですが…
12月2日、サッカーW杯スペイン戦が熱すぎた!
目指すはベスト8。がんばれ日本代表!
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